台湾の演劇団体は、南仏アヴィニョンで毎年開催される演劇フェスティバル「アヴィニョン演劇祭」の中の自主参加部門「アヴィニョンオフ(Avignon Off)」に10年以上連続で参加している。台湾の多彩なパフォーマンスは、仏メディアからも徐々に注目され始め、今年は特に、台湾から参加する「蒂摩爾古薪舞集(TJIMUR DANCE THEATRE)」と振付師の田孝慈さんの作品に注目が集まる。
仏紙「レゼコー(Les Echos)」の報道によると、「蒂摩爾古薪舞集」が公演する『似不舞【s】』では、台湾の先住民族、パイワン族の文化を表現する。「蒂摩爾古薪舞集」の団長兼芸術総監督の路之・瑪迪霖(Ljuzem Madiljin)さんと、舞踏監督の巴魯・瑪迪霖(Baru Madiljin)さんの創作は、集落の伝統文化に新風を吹き込んだということ。
『似不舞【s】』はまた、パイワン族の伝統行事における踊り「4歩舞」を現代的なリズムと結びつけて演出する。中でも特に興味深いのは、伝統文化を現代人でも理解できるボディーランゲージで表現する点だ。この演出は大成功を収めるに違いないと「Les Echos」も報道している。
また、仏紙「フィガロ (Le Figaro) 」によると、振付師の田孝慈さんによる『洞(The Hole)』では、幽霊に取りつかれた人の混乱や慌てぶりを表現しているという。他人の視線、重苦しさ、気ままな様子から気持ちを持ち直すことの難しさを暗黒舞踊(butoh)とモダン・ダンスで表現している。
さらに「蒂摩爾古薪舞集」の『似不舞【s】』では、先祖の儀式や米舞踏家でモダンダンスの開拓者ともいわれる故マーサ・グラハムさんの理念を継承して、抽象的な概念による無限な変化で見る人の心を捉えている。
アヴィニョンオフとアヴィニョン演劇祭は毎年7月、ほぼ同時期に開催される。
台湾から今年は4団体が参加する。「蒂摩爾古薪舞集」と振付師の田孝慈さんのほか、「無独有偶工作室劇団」、「福爾摩沙馬戯団」も参加する。